Space Weather
宇宙天気
太陽の活動は、地球の磁場・大気・人工衛星・通信に絶えず影響を与えている。 太陽フレアからオーロラ、そして史上最大の太陽嵐まで、宇宙天気の主要な現象を整理する。
自然現象
太陽フレア
Solar Flare
太陽の表面(特に黒点付近)で磁力線のエネルギーが急激に解放され、強い電磁波(X線・紫外線)や粒子が放出される爆発現象。最大級のものはX線強度で「Xクラス」と分類される。地球に到達した電磁波は約8分で電離層を乱し、短波通信障害や GPS 誤差を引き起こすことがある。太陽活動の活発な時期に頻発する。
自然現象
コロナ質量放出(CME)
Coronal Mass Ejection
太陽のコロナから、磁場を伴った大量のプラズマ(数十億トン規模)が宇宙空間へ放出される現象。フレアと同時に起こることが多い。地球方向に放出されると1〜3日で到達し、地球の磁場と衝突して大規模な地磁気嵐を引き起こす。人工衛星の故障や送電網への影響など、宇宙天気災害の主因となる。
自然現象
地磁気嵐
Geomagnetic Storm
CME や高速太陽風が地球の磁気圏に到達し、地球の磁場が激しく乱される現象。指標として Kp 指数や Dst 指数が使われる。大規模な嵐では、低緯度でもオーロラが見え、送電網への誘導電流、衛星の軌道低下、通信・測位の障害が生じうる。社会インフラに直接影響する宇宙天気現象。
自然現象
太陽風
Solar Wind
太陽から絶え間なく吹き出している、陽子や電子からなる高温のプラズマの流れ。秒速およそ300〜800kmで太陽系全体に広がり、地球の磁気圏の形(昼側が圧縮され夜側が長く伸びる)を作る。太陽風の速度や密度の変化が地磁気活動やオーロラの強さを左右する。
自然現象
放射線帯(ヴァン・アレン帯)
Van Allen Radiation Belts
地球の磁場に捕らえられた高エネルギーの荷電粒子(陽子・電子)が、地球を二重のドーナツ状に取り巻く領域。1958年に探査機エクスプローラー1号の観測からジェームズ・ヴァン・アレンが発見した。内帯と外帯があり、人工衛星や宇宙飛行士にとって放射線被曝のリスク源となるため、軌道設計で考慮される。
自然現象
オーロラ
Aurora
太陽からの荷電粒子が地球の磁力線に沿って極域の超高層大気に降り込み、大気中の酸素や窒素を励起して発光する現象。北半球では北極光(オーロラ・ボレアリス)、南半球では南極光(オーロラ・オーストラリス)と呼ばれる。緑や赤の色は発光する分子・原子と高度の違いによる。地磁気嵐が強いと低緯度でも観測される。
自然現象
太陽活動周期(極大期・極小期)
Solar Cycle
太陽の活動が約11年周期で増減する現象。黒点数が多くフレアや CME が頻発する「極大期」と、黒点がほとんど現れない静かな「極小期」を繰り返す。周期ごとに番号が付けられ、現在は第25活動周期。極大期には宇宙天気災害のリスクが高まり、衛星運用や有人宇宙活動の計画に影響する。
自然現象
宇宙線
Cosmic Rays
宇宙空間を飛び交う非常に高エネルギーの粒子(主に陽子や原子核)。太陽由来のものと、超新星爆発など銀河系内外の天体に由来する「銀河宇宙線」がある。地球大気と衝突して二次粒子のシャワーを生む。太陽活動が活発な時期には太陽風が銀河宇宙線を遮蔽するため、地表で観測される宇宙線量はむしろ減少する。
自然現象
電離層擾乱
Ionospheric Disturbance
太陽フレアの X線や、地磁気嵐に伴う高エネルギー粒子の流入によって、地球の電離層(高度約60〜1,000km)の電子密度が乱れる現象。電離層は短波通信の反射や GPS 信号の伝搬に関わるため、擾乱が起こると通信途絶や測位誤差が生じる。航空・船舶・防災通信にとって重要な監視対象。
歴史的事象 · 1859年
カリントンイベント
Carrington Event
1859年9月に発生した、観測史上最大級の太陽嵐(巨大フレアと CME)。英国の天文家リチャード・キャリントンが白色光フレアを目撃したことから名付けられた。世界各地で低緯度までオーロラが観測され、当時普及し始めていた電信網に大規模な障害・火花を引き起こした。現代で同規模の嵐が起きれば、送電網・衛星・通信に甚大な被害を及ぼすと懸念されている。