量子重力 · String Cosmology

弦理論と宇宙論

物質の基本要素を点ではなく一次元的に広がった弦とみなす弦理論を、宇宙の初期や進化の記述に応用する分野。弦理論は重力を量子論的に含みうる候補理論であり、余剰次元やブレーンの動力学を用いて、ビッグバンに代わる宇宙の始まりや、インフレーションの起源、多数の真空からなる景観などが議論される。観測的検証は依然として大きな課題である。

分野
量子重力
英語名
String Cosmology
主要な貢献者
ガブリエレ・ヴェネツィアーノ / エドワード・ウィッテン

関連エントリ

物理概念ループ量子重力一般相対論を背景時空に依存しない形で正準量子化しようとする量子重力理論。空間そのものがスピンネットワークと呼ばれる離散的な構造からなり、面積や体積が最小単位を持つ量子化された量になると予言する。弦理論と異なり余剰次元や超対称性を前提とせず、時空の幾何そのものの量子化を目指す。初期宇宙の特異点を回避するループ量子宇宙論も研究されている。物理概念マルチバース仮説我々が観測できる宇宙が、より大きな多数の宇宙の集合の一つにすぎないとする考え。永久インフレーションでは膨張が止まらない領域の中に泡のように多数の宇宙が生まれ、弦理論では膨大な数の真空(景観)がそれぞれ異なる物理定数を持つ宇宙に対応しうるとされる。物理定数の微調整を説明する文脈で論じられるが、他の宇宙の直接観測は困難で、検証可能性が議論の的となっている。物理概念人間原理観測される宇宙の性質は、観測者である我々が存在しうるという条件によって制約を受ける、という考え方。物理定数や宇宙の初期条件が生命の存在に都合よく見える「微調整」を、観測者がいる宇宙しか観測されえないという選択効果として論じる。観測事実の解釈にとどめる弱い人間原理と、宇宙はそのように在らねばならないとする強い人間原理が区別される。